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Section-S/www.(1996)

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Section-SはSAKI、IZUMI、MARLEYの3名からなる女性ボーカルユニット。日向大介プロデュースのもと1996年にメジャーデビューし、本作の他にシングル4枚を残している。

同時代のガールズグループを意識したと思しきビジュアルや、メンバー自身によるラップの導入など、表面上はR&B然とした佇まいでありながらも、テクノ~アンビエントをバックグラウンドに持つプロデューサー日向大介の嗜好もあってか、ソウル/R&B的なグルーヴを感じられる楽曲は意外にも少ない。それでもこのアルバムを取り上げたくなった理由は、2曲のTLCインスパイア曲の存在だ。
90年代ガールズグループのトップに君臨し、日本での人気も高い伝説的グループTLC。中でも1994年リリースの2ndアルバム『CrazySexyCool』は1000万枚以上を売り上げ、グラミーで最優秀R&Bアルバム賞を獲得した、グループの代表作である。本作は、そんなTLCの名作2ndアルバムから、なんと大胆にも2曲も引用しちゃっているのだ。M4「Little By Little」は一聴して分かるとおり「waterfalls」を翻案したトラックで、原曲と同じくラップが挿入される。メンバーの3人が掛け合いで魅せるラップはレフトアイのスムースさとは似ても似つかないが、ポップフィールドにおいてラップが単なるノベルティとして扱われる風潮が強かった時代に、歌とラップを自由に行き来する独自のフロウを取り入れたこの曲は、歴史的な観点からも重要な一曲と言えるのではないだろうか。もう一曲のM7「Pacific Shore Hotel」だが、こちらのトラックは「Diggin’ On You」を下敷きにしている。しかも原曲のフックのフレーズをメロとサビにリサイクルする怖いものなしの一曲。同時代にヒットした英米のポップスの確信犯的な引用は特に珍しいことではないし、むしろ後年の音楽ファンにとっては、「〇〇歌謡」などの愛称で親しまれるフックになったりもする。しかしながら、一枚のアルバムから2曲引用、というのは歌謡曲/Jポップの歴史の中でも極めて希少な例と言えるだろう。とにかく、ラフェイス譲りのメロウなトラックと、3人のやや危なっかしいながらもナチュラルでキュートなヴォーカルの相性は抜群で、本家TLCとはまた違った輝きを放っている。90年代R&B再評価の動きが進む今こそ、しっくりくるアルバムだと思う。


余談だが、この2曲は日向大介が劇伴を担当したフジテレビ系の大ヒットドラマ『ロング・バケーション』の挿入歌として使用されている。同作のサウンドトラック盤には「Little By Little(本作収録のものとはヴォーカルトラックが異なる)」の他、「Little By Little」と同じトラックの上で謎の女性シンガーAnna Mcmurphyに英語で別メロディーを歌わせた「Deeper and Deeper」という和製R&B最高峰の超クラシックな名曲が収録されており、そちらも必聴(F氏)。

1. www. music:Daisuke Hinata
2. Rambling words:前田たかひろ music:Daisuke Hinata & Bud Rizzo
3. Break up words:真間稜 music:Daisuke Hinata
4. Little by Little words:前田たかひろ music:CAGNET rap:Izumi Hiraoka,前田たかひろ
5. Kissくらいしてあげる words:Izumi Hiraoka music:Daisuke Hinata
6. On and On words:Izumi Hiraoka music:CAGNET
7. Pacific Shore Hotel words:Izumi Hiraoka music:CAGNET
8. It's ALL RIGHT  words:前田たかひろ music:Daisuke Hinata & Bud Rizzo
9. Kaigai  words:Izumi Hiraoka music:Daisuke Hinata
10. 恋みたいじゃない words:前田たかひろ music:Daisuke Hinata & Bud Rizzo
11. Hazy Moon words:前田たかひろ music:Daisuke Hinata
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light mellow部

Author:light mellow部
輝かしい70~80年代の名盤の影で完全にエアポケットと化した90~00年代産シティポップ。ブックオフとかハードオフで9割引きみたいな値段で売られてるCDを執拗に堀漁る重箱の隅みたいなブログです。似たような趣味の人達の集まり共同で書いてます。たまにイベントもやります。名前は、音楽ライターである金澤寿和さんの提唱する「Light Mellow」の概念を拝借しました。
Twitter:@hukihuki5

City pop from the '90s and '00s that has completely become an air pocket in the shadow of the glorious '70s and '80s classics. It's a blog like a corner of the box where I relentlessly dig for CDs that are sold at 90% off at Bookoff or Hard Off. It's a group of people who have similar interests and write together. Occasionally we have events. The name was borrowed from the concept of "Light Mellow" advocated by music writer Toshikazu Kanazawa.