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OST/東京エレベーターガール(1992)

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東京って街は色んな人がいる。みんな、な〜んてことなく生きてるフリして…でも、その心の奥じゃ真剣に悩んだり、考えたり、どっち向いて生きていこうか迷ったりなんかもしてるんだろうな。そう思うとなんか嬉しくなってくる。私は1人じゃないんだ、って。そしてこの東京の街で生きていく勇気が湧いてくる。

東京エレベーターガールは1992年にTBSで放送されたテレビドラマ。宮沢りえ演じる沢木つかさが高校卒業と共に故郷の小豆島を離れ、東京のデパートでエレベーターガールとして勤めることになり、そこを舞台として仕事・友情・恋愛を通して「自分探し」をするといったストーリーとなっている。ドラマの音楽の指揮は難波正司がとり、そこに伊東たけしや青木智仁など豪華な顔ぶれが並ぶ、といった具合だ。
まず断っておくと、このサウンドトラックの音楽的要素のほとんどはシティポップではない。曲作りの核を担っている難波正司はキーボード奏者で是方博邦の作品への参加、初期ノブ・ケインのメンバーとして、また90年代の一時期はT-SQUAREにも在籍しておりフュージョン畑の人と言えるが、彼はスタジオ・ミュージシャン集団でニューエイジ・バンドARAGONのメンバーであった側面もあり(西松一博/貿易風物語にも共作で参加)、本作では彼のアンビエント・ニューエイジ的側面が遺憾無く発揮されている。では何故ここに寄稿させてもらったかと言うと、宮沢りえがボーカルをとる主題歌の素晴らしさ、そして物語を通して奏でられる情景が非常にシティポップ的だと思ったからだ。都会への憧れ、卒業、進学、引越、就職…人生の分岐点に立った時の期待や不安、挫折、それを乗り越えていくストーリーがサウンドトラックを通して伝わってくる。難波正司の凛として瑞々しいピアノ・キーボードそして空間処理、伊東たけしの都会的でスムースなサックスがビル群や街を歩く人の雑踏、架空の都市を作り出す。作中挟まれる宮沢りえの初々しさ残るナレーションがそこに1人の女性を浮かび上がらせ、物語性を更に高めている。

1. Prologue (ナレーション:宮沢りえ)
2. Tsukasa's Dream(part I) (作曲:難波正司)
3. Tsukasa's Dream(part II) (作曲:難波正司)
4. Tsukasa's Dream(part III) (作曲:難波正司)
5. 出逢い (作曲:難波正司)
6. A Lover's Suite (作曲:難波正司)
7. Lovesick City (作曲:難波正司)
8. Mon Réve (作曲:難波正司)
9. Monologue (ナレーション:宮沢りえ)
10. T's Samba (作曲:伊東たけし、難波正司)
11. 心から好き (作詞:Kikuji / 作曲:山田直毅)
12. Affection (作曲:難波正司)
(全編曲:難波正司)


都会での新たな生活に昂まる期待や踊る心、不安や寂しさを思わせるM2〜5、vaporwave以後評価されるべきCraig T. Cooper Projectを思わせるスムースジャズM6、難波正司の真骨頂的ニューエイジ・サウンドM7、夜中のバーカウンターやそこから見える夜景が浮かんでくる伊東たけしの名演が光るM8、気分はもうデジタル・バカンスなM10、女性の堰を切った独白の様な歌詞はビートたけしによるもので90年代シティポップ名曲M11、新たな一歩を踏み出させてくれるM12。今注目されている日本の音楽的エッセンスが凝縮しているこのサウンドトラックはまさに今聴かれるべき1枚だと思います。
完全に余談ですが、「劇場版 名探偵コナン 14番目の標的」のサントラには伊東たけしによる素晴らしいスムースジャズ収められているのでこれが気に入った人はチェックお願いします。(タイ)
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Author:light mellow部
輝かしい70~80年代の名盤の影で完全にエアポケットと化した90~00年代産シティポップ。ブックオフとかハードオフでゴミみたいな値段で売られてるCDを執拗に堀漁る重箱の隅みたいなブログです。似たような趣味の人達の集まり共同で書いてます。たまにイベントもやります。名前は、音楽ライターである金澤寿和さんの提唱する「Light Mellow」の概念を拝借しました。
Twitter:@hukihuki5