鈴木崇/Sugar Free(1999)
- 2023/05/02
- 17:37

僕らは日付変更線をまたぐように 新しい夏を迎える(帯のキャッチコピーより)
シンガーソングライター鈴木崇のアルバム。優しい歌声が武器の彼だが、自分でギター、キーボード、プログラミング、パーカッションをこなす多彩な一面も持っている。大学在学中からバンド活動をし、卒業後プロの道に入り初めて出したアルバムがこの『Sugar Free』。尾崎豊や浜田省吾関連の仕事で知られる須藤晃がプロデューサーを務めている。
オープニングの「昨日は今日の物語」は彼が小学生の頃に聴き衝撃を受けたという大瀧詠一の影響がストレートに出た一曲。M9「Birthday Rhapsody」にもその嗜好が表れている。というか歌詞にも「カナリア諸島から シベリア鉄道で 恋するカレンに会いに行く途中さ 今日は雨のウェンズデイ」…最早隠す気もないようだ。メロウフォークの趣のあるM2「梅雨入りの日」、M8「星空のカフェ」の二曲も味わい深い。このアルバムのハイライトはM7「Merry-Go-Round」。ヤマタツも好きな鈴木崇のことだから、このタイトルも、もしかしたらそうなのかもしれない。しかしあちらが強烈なファンクチューンに対して、こちらはキンモクセイにも通じるような甘酸っぱくてノスタルジックなシティポップ。売り出しようによってはヒットしていたかも、そう思わずにはいられない一曲。聴いていて笑顔になれるアルバムである。
①昨日は今日の物語
②梅雨入りの日
③23
④キャッチボール
⑤夕陽ヶ丘の夏
⑥心にメロディ
⑦Merry-Go-Round
⑧星空のカフェ
⑨Birthday Rhapsody
⑩ずっと待ってる