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オリジナル・サウンドトラック/白鳥麗子でございます!(1990)

白鳥麗子でございます!



立花理佐/ハートが危ない!

オリジナル・サウンドトラック/白鳥麗子でございます!(1990)より


音楽がもたらしてくれる情緒というものが当たり前にあって、激しい音楽はやはり激しい場面に合うし、ゆったりした音楽は安らぎを与えてくれる場面にぴったりというのは誰もが分かる事だと思うが、自分の中で、分かりやすく言えば「ノスタルジー」に相応する情緒を与えてくれる音楽が確実に存在している。しかしそのノスタルジーというものが「音楽」という場面には少々厄介な事柄として存在しているのもあり、つまり進歩を望まない故の懐かしさとして先進的なリスナーからは後退的と捉えられる場面も多いように思う。しかしそのノスタルジーというものが単純に「昔は良かった」という人生の退路を歩み続ける故の否定的なものではなく、ノスタルジーという名を借りた幻想的な価値観の創造にひた走るものであるのは、その人個人の想像力次第でいくらでも未来へアップデートできるのではないだろうか。


この鈴木由美子原作コミックのOVAのサウンドトラック集に収められた、立花理佐/ハートが危ない!という曲を聴く度に俺の中に、懐かしくもあるがどこにも存在はしない架空の世界の架空のトレンディ空間を、確実に創造し、辿り着く事ができるのだ。この曲を一聴してすぐ分かるのは、現在では絶対作る事ができない、というか絶対作らないであろうサウンドプロダクションが展開されており、1990年という時代性を差し引いても、言葉は悪いが「時代遅れ」という快楽空間が存在している事を確認できる。ここで私たちリスナーは試されるのだ。ノスタルジーとは一体なんなのだ?と。60年代や70年代のグルーブともほど遠く、80年代の一周まわったグルーブとも遠い、いわゆるレア・グルーブとは無縁の職業音楽然とした在り様にどんな価値観を見出せるのか?と。


個人的な話で恐縮だが、私が昔、交通誘導の警備員をやっていた頃、住宅街の下水道工事で通行止めの現場にただ立っていればいいという仕事をしている時に、現場近くにあるガソリンスタンドで流れているBGMでこういう感触のものがずっとかかっていたような気がして、立っているだけでいいというさして生産性も感じられない作業で頭がボンヤリしていた中に、こういったロックとかでもない無菌の歌謡ダンスミュージックが流れ込んでくると自分が何をしているか分からなくなり、果てには自分の存在意義も分からなくなっていく事があって、しかしそれはネガティブなものではなく純粋にトリップしているのであって、サイケデリックミュージックではなくてもそういう体験が出来るというのが確実に存在すると思っている。オシャレであるとかカッコイイという価値以外のものを自分で勝手に創って自分の中だけで完全に完結させて悦に入り込むのだ。こういった遊び?をこういった音楽でやる事は当時では誰にも理解されないと思い長年自分の中だけの物として生成していたが、ここ数年ではそれをこうしてWEB上で発表できるようになって、それはいささか恥ずかしくもあるのだが、自分以外にもこういう事を考えている人はいるのかは少しだけ興味がある。
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プロフィール

light mellow部

Author:light mellow部
輝かしい70~80年代の名盤の影で完全にエアポケットと化した90~00年代産シティポップ。ブックオフとかハードオフで9割引きみたいな値段で売られてるCDを執拗に堀漁る重箱の隅みたいなブログです。似たような趣味の人達の集まり共同で書いてます。たまにイベントもやります。名前は、音楽ライターである金澤寿和さんの提唱する「Light Mellow」の概念を拝借しました。
Twitter:@hukihuki5

City pop from the '90s and '00s that has completely become an air pocket in the shadow of the glorious '70s and '80s classics. It's a blog like a corner of the box where I relentlessly dig for CDs that are sold at 90% off at Bookoff or Hard Off. It's a group of people who have similar interests and write together. Occasionally we have events. The name was borrowed from the concept of "Light Mellow" advocated by music writer Toshikazu Kanazawa.