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市原真紀/I WILL(1995)

 効果音楽集20200308


 ジョンソン・エンド・ジョンソン ベビーローションCMソングとなった2ndシングル「1グラムの勇気」のややヒットで知られる(?)市原真紀による2ndアルバム。本作も、④がたかの友梨ビューティークリニックCFイメージソング、⑨が日本テレビ系「ウンナン世界征服宣言」エンディング・テーマ、⑩が日本テレビ系「NNNきょうの出来事」エンディングテーマと、いかにもこの時代らしいタイアップ満載のメジャー謹製アルバムとなっている。元々本人もブラック・ミュージック志向のある人のようで、ヴォーカル・スタイルもなかなか堂に入ったものだが(広瀬香美にソウルを注入したような印象)、それを支える楽曲/オケが何より素晴らしい。ビーイングの創設者である長戸大幸の弟、長戸秀介が代表を務める音楽制作会社レイズインのプロデュースによってデビューした河井拓実がほぼ全曲の作編曲/キーボード/プログラミングを務め(ハワード・キーリーという変名を使っている)、渡辺格(ギター)、大平勉(オルガン)、山本一(サックス)が参加。この時代のアルバムにしては珍しく、「一曲よければ名盤」の世界ではなく、7割ほどの曲がシティポップとして聴取可能で、しかもそれぞれのクオリティも相当に高いという内容。不勉強ながらわたしは彼女のことを今作で初めて認知したのだが、これまであまりシティポップ・ファンの話題に登っていないようなのが不思議なほどだ。
 
 アコースティックな浮遊感が気持ちいいミディアム・グルーヴ②、これぞラグジュアリー歌謡調のマイナー・ライトメロウ④、キッチュなドラムマシンの音が好ましいAORバラード⑤、ハウスを通過した4つ打ちメロウ⑥、元気はつらつなガールポップ風アップ⑦、シーブリーズ系歌謡⑧など、好曲だらけだが、特筆すべきが③。いわゆる「ナイト・イン・ニューヨーク」系歌謡にカテゴライズ可能かと思うのだが、メロディーやコード進行が、村瀬由衣の名曲「水曜の朝、窓を開ける」(1992)にめちゃくちゃ似ている(一瞬ダブプレートのようにオケを使いまわしているのかなと思ったが、村瀬曲を改めて聞くと違った)。おそらく偶然の一致だとは思うが……。複雑なコード・プログレッションや多様なリズム内包する(と思われている)シティポップという音楽ジャンルだが、言うて、そのバリエーション数自体はある程度有限なのかな…という思いが。しかしながら、元来我々のようなものは、そういう似通った集合体の中に微妙な差異を見つけることにこそ、ひとしおの悦びを感じるのだった。

1.星の夜は… (インストゥルメンタル)(作編曲:ハワード・キリー)
2.太陽があれば(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
3.約束だからね(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
4.きっと (アルバム・ヴァージョン)(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
5.フィン (ナイト・ヴァージョン)(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
6.クライム(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
7.それでも会いたい(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
8.夏の一秒(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
9.努力のくすり (リミックス)(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)
10.夜が明けたら (アルバム・ヴァージョン)(作詞:市原真紀 作曲:菅井えり 編曲:ハワード・キリー)
11.星の夜は…(作詞:市原真紀 作編曲:ハワード・キリー)

サウンド・プロデュース:ハワード・キリー

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light mellow部

Author:light mellow部
輝かしい70~80年代の名盤の影で完全にエアポケットと化した90~00年代産シティポップ。ブックオフとかハードオフで9割引きみたいな値段で売られてるCDを執拗に堀漁る重箱の隅みたいなブログです。似たような趣味の人達の集まり共同で書いてます。たまにイベントもやります。名前は、音楽ライターである金澤寿和さんの提唱する「Light Mellow」の概念を拝借しました。
Twitter:@hukihuki5

City pop from the '90s and '00s that has completely become an air pocket in the shadow of the glorious '70s and '80s classics. It's a blog like a corner of the box where I relentlessly dig for CDs that are sold at 90% off at Bookoff or Hard Off. It's a group of people who have similar interests and write together. Occasionally we have events. The name was borrowed from the concept of "Light Mellow" advocated by music writer Toshikazu Kanazawa.