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宮本文昭 / Soul Blue (1993)

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bu本(=オブスキュア・シティポップ ・ディスクガイド)でクラシック楽曲をフュージョンカバーした5thアルバム「Nepenthe」を取り上げているオーボエ奏者・宮本文昭の1993年作。今作では佐橋俊彦、加藤一弘、羽場仁志、竹内淳らの作曲&アレンジによる円滑係数の高いスムースジャズで一面が丸々塗りつぶされている。そのイメージカラーはタイトルの通り、オーボエが主旋律を歌うがゆえのほんのり憂いを帯びた青なのだが、かたやソウルの一語はぴんとこないカロリーゼロ・スウィーティな聴感のみが立ち上がる。畢竟、想定範囲のセントラルゾーンに収斂するオリジナリティの希薄なザ・スムースジャズ100%(M2はラップ曲だけどこのジャンルにありがちなスポーティフュージョンの延長タイプ)。コーティング部分の砂糖を丹念に集めたかのような、逆に良薬口に苦しという箴言を切望したくなる当たり障りのない音楽性。毒にも薬にもならぬ…と、そのフリスキーなテイストを普通に断罪したくなるがしかし、そう簡単には切り捨てられないところが面白いのです。これはひとえにDarek JacksonやKenny Mosleyらの手練れた演奏の妙味に依る部分が大きいのかなと。M5のショッピングフュージョン、M7のイージーサンバなどの無記名化されたバニラアイスサウンドに、思わず”vaporwave以降の”という炙りを条件反射で匙に加えたくなるものの、存外余裕で掬い取れるレベルのリッチ感とコクがありその必要もないというか(もちろんそのように楽しむこともできるのだけど。MORと書くときの中道について、正攻も倒錯も許容されることだと解釈するなら、2020年代におけるそれはスムースジャズなのか?なんてふと考えてしまう)。おもむろに腕を組みながら「Ahh, smooth…」とため息をつくのなんて楽勝。締めのRuss Freeman(Rippingtonsじゃない方)のカバーも淡く物悲しげなシンセが上品でいい感じ。ニューエイジな有機性も微量ながら含有しており、結局は良薬耳にやさしな佳作なのだった。

1. SOUL BLUE (作曲・編曲:加藤一弘)
2. SOUL OF MILES(作曲・編曲:加藤一弘)
3. BE WITH YOU(作曲・編曲:加藤一弘)
4. MINDS(作曲・編曲:佐橋俊彦)
5. TAKE IT EASY(作曲:羽場仁志/編曲:加藤一弘)
6. VOCE NA PRAIA(作曲:羽場仁志/編曲:佐橋俊彦)
7. VENTOS DO BRAZL(作曲・編曲:佐橋俊彦)
8. NIGHT CALL(作曲・編曲:竹内淳)
9. THE WIND(作曲:Russ Freeman/編曲:竹内淳)
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light mellow部

Author:light mellow部
輝かしい70~80年代の名盤の影で完全にエアポケットと化した90~00年代産シティポップ。ブックオフとかハードオフで9割引きみたいな値段で売られてるCDを執拗に堀漁る重箱の隅みたいなブログです。似たような趣味の人達の集まり共同で書いてます。たまにイベントもやります。名前は、音楽ライターである金澤寿和さんの提唱する「Light Mellow」の概念を拝借しました。
Twitter:@hukihuki5

City pop from the '90s and '00s that has completely become an air pocket in the shadow of the glorious '70s and '80s classics. It's a blog like a corner of the box where I relentlessly dig for CDs that are sold at 90% off at Bookoff or Hard Off. It's a group of people who have similar interests and write together. Occasionally we have events. The name was borrowed from the concept of "Light Mellow" advocated by music writer Toshikazu Kanazawa.